T-SIPについて

Tatsuno – Social Inclusion Project
たつの市 誰もが誰かを包み込む社会になるプロジェクト

兵庫県たつの市を拠点に、ひとの個性や置かれた環境を否定することなく、できる限り穏やかに優しく肯定していこうとする気遣いと慮りの流れ、多様性を優しく受け止めた穏やかで革新的な市民活動を推進しています。

誰かと何かを一緒にすること。
「混じり合うきっかけ」から問い続ける。

これからT-SIPと出会うかもしれない『どこかのあなた』へ

はじめまして、こんにちは。少し長くて抽象的な文章になります。
T-SIPは、〝たつのソーシャルインクルージョンプロジェクト〟英語表記の頭文字をとった名称で、(ティー・シップ)と呼んでいます。たつの市が誰もが誰かを包み込む社会になるためのプロジェクトとして2012年にスタートした市民活動です。

何のバリアを超えるのか?

わたしとあなたがくらす『まち』。
人の暮らしは、住環境、色、経済、医療などの自己維持的な基本的側面から、やりがい、楽しみ、恋愛、仲間、愛着など、人生を生きていると言う証のような側面まで幅広く関係しています。
わたしとあなたの暮らしも当然違うのだけれど、その違いは、それぞれ自分の人生を全うするために、必要とする条件が違うだけで、その『違い』を意識すると、あなたをもう少し知りたくなるし、ある別の側面では、わたしと『同じ』なんだと共感することにもなるのでしょう。
誰もが、自身が輝ける部分に気づく力を備えているし、社会で十分に力を発揮することができます。
誰もが、誰かを勇気づけたり、助けたり、役に立ったり、愛し/愛されたり、仲良くなったり/ケンカしたりできるし、わたしやあなた〝でも〟できることではなくて、不自然に作られた事象ではない(あなたがいないと困る、あなたといっしょに過ごしたい)あなたの力と時間が必要だといえるような、そんな社会で暮らしていきたいと望んでいます。

わたしとあなたが『くらす』まち。
わたしとあなたの『些細』な情報が、行ったり来たり。ぐるりぐるりと循環するから、ともに生きている年月と風景の中に、今確かに『ここに居る』ことの手触りを感じます。だから、誰のことも居なかったことにせず、誰も取り残さない社会を目指して、大切に醸成したいと思っています。

わたしとあなたの『周縁』が、〝ここまではワタシ、ここからはアナタ〟と0,000…mmの線で分けられると、退屈だし少し寂しい。それよりも〝どこまでがワタシか分からないんだけど?ワタシ?アナタ?ミンナ?あれ?もしかして、ここまでだってワタシだけじゃなかったのかも?〟と揺れながら探している最中のほうが面白そう。〝よろしければ、お手伝いしましょうか?(どこまでがワタシか分からないので自分のことのようにも思いますし)〟と呟けたら、わたしとあなたの周縁には、今よりも少しだけ柔らかい時間が流れるのかもしれません。そして、わたしとあなたの周縁は、『幅広で曖昧な境界線』としてあるほうが、お互いに制御しきれない領域が増えて少し苦労するかもしれません。でもそれは有意義な苦労。何故なら、その領域の中で、お互いが気持ちよく楽しめるように、できることを持ち寄って『お手入れ』し続けることは、わたしとあなたの『些細』な情報が循環する源泉にもなるように感じるからです。

わたしとあなたも、物事や時間の『感度』は違うけど、どこかで何かを一緒に行うと、はじめは噛み合わなかったリズムや間合いも、時間と過程を重ね合わせていくだけで、不思議なことに、少しずつテンポが揃っていきます。身体行為も、呼吸や所作が同調しだして、まるで魔法、ひと同士が通じ合っているような感覚、いや、ひと以外とだって通じ合っているんじゃないかとか、お互いがお互いを巻き込み合う中でしか自己は形成されないのではないだろうかとか、結局、全てのひとは、地続きで『繋がっている』んじゃないかとか、よく分からないような、暗黙知があることを実感できると思うのです。

わたしとあなたが『理解』しあうためには、たぶん人間同士として触れ合っていなければ分からないことばかりだと思います。例えば、あなたが普段、どういうことをして笑っているのかとか、どんなことに心を動かされているのかとか。
わたしにもあなたにも当然個性はあるのだけれど、社会から影響を受けることで生ずる〝いきづらさ〟にはグラデーションがあって、ひとによってはそれが「障がい」となる場合もあります。ですから、〝コノ生きづらさは、コノヨウニ理解をして、コウイッタ方法で接してください〟と、一方的にどこかの誰かから押し付けられる表現だけだと、多様性からは、より離れたものになってしまいます。そうではなく、まず直に触れ合い、何らかの表現をし合うこと、そして直に触れた人それぞれが、自由に感じて考えたこと自体が尊重されること。その多様さが、醸成される行為と過程に、ゆっくりと、丁寧に存在していること。そして、その行為と過程は、置かれた環境とともに、常に『存在』として変化し続けていくこと。わたしが今紡いでいるこの言葉自体も、これから醸成されてく存在によって、やはり次々と変化し続けるであろうと思います。

わたしとあなたが『くらすまち』。
誰もが誰かを包み込む社会って、どんな風景なのでしょうか。それはきっと、誰かと何かを一緒にすることが『きっかけ』となって、その『混じり合い』から立ち起こる文化について、問い続けたいと思います。

沿革

2012 たつの市が誰もが誰かを包み込む社会になることを目的に、たつのソーシャルインクルージョンプロジェクト(通称:T-SIP/Tatsuno social inclusion project)が発足される。
2013 映画の自主上映会の企画と開催活動を開始。市内の知的障害者入所施設・認定こども園・町屋など、日頃、その場の目的に無関係な市民が立ち入る機会のない場所を、上映会場にすることで、新たなコミュニティの形成に挑戦した。
2014 映画の自主上映活動を継続。
2015 たつの市を拠点としたパラスポーツ活動『揖龍パラスポーツクラブ』を設立。
2017 こどもの意思と主体でつくられていく場づくりを目的に『コドモキッチン』を設立。その後、市内3カ所のコドモキッチンか設立される。
フードロスを社会的課題と捉え『フードバンクたつの』を設立。
2018 ありがとうを通貨にしよう!をコンセプトにしたギフトエコノミー型市民参加イベント『Okuri-monoおくりもの』が開始。
たつの市地域包括支援課との共創による、地域共生社会の実現を目的とした新たな福祉体験イベント『おもんぱかる』を開催
障がいがあっても楽しみたいプロジェクトが発足。
2019 たつの市にある新舞子浜を拠点に、誰もが楽しめるマリンスポーツを展開する『ユニバーサルS U Pプロジェクト』が発足。
コープこうべコープ龍野店を地域交流拠点とするべく共創を開始。防災や地域活動イベントを多数展開。
障がい当事者や医療従事者が公共の場でトークライブを展開する『コミュニケーションバリアフリー公開打ち合わせ』が発足。
買い物を通じて障がいのあるひとへのアテンド体験と疑似体験ができる『ユニバーサルショッピング』がスタート。
たつの市地域包括支援課との共創による、新たな防災活動イベント『イザ!カエルキャラバンinたつの』を開催。
兵庫県主催ひょうごユニバーサル動画コンテスト最優秀賞を受賞。
2020 コロナ禍における、高齢者のデジタルデバイドと孤立の予防を目的に、哲学カフェをメゾットとした新たな社交の場づくり『対話の糸』が発足。
たつの市地域包括支援課との共創による、コロナ禍の市民のつながりを感じるリレー動画『いろんなワハハがちょうどいい・たつの市歌体操たっちゃん体操』を制作。
音声言語を使わないコミュニケーションを楽しむ新たなコモンズカフェ『サイニングディ』がスタート。
兵庫県ひょうごユニバーサル社会づくり賞(団体の部)を受賞。
たつの市初のローカルラジオを開設し『まるまるのそもそもラジオ』がスタート。
『みんなのまちの役割が変化する〝まちへん〟』が芸術工学会主催減災デザインプランニングコンペ最優秀賞を受賞。
2021 兵庫県立播磨特別支援学校とマックスバリュ龍野店とT-SIPで共創し、生徒が主体的に運営するアンテナショップ『カフェはりま』をデザイン。
兵庫県立西はりま特別支援学校と市民とT-SIPで共創し、市民参加型のチャリティ活動『光都0円ストア』をデザイン。
サイニングディが兵庫県主催ひょうごユニバーサル社会づくり賞(個人の部)知事賞を受賞
コープ龍野店が兵庫県主催ひょうごユニバーサル社会づくり賞(企業の部)知事賞を受賞。
たつの市地域福祉課との共創による、誰もが楽しみ・熱くなれる、たつの市版ユニバーサルらくスポーツイベント『らくスポ』を開催。
『みんなのまちの役割が変化する〝まちへん〟』がフェーズフリー協会主催第1回フェースフリーアワード2021アイディア部門金賞を受賞。
小宅小学校4年生とコープ龍野店とT-SIPで共創し、プラスチック削減の総合学習プロジェクト『プラエコ・まなぶ』がスタート。
多世代の地域住民がつながる交流拠点となる農園『まるまるあぐり』を設立。
学習参考書『誰もが誰かを包み込む社会』が、旺文社主催第2回学びを変える未来の学参企画大賞敢闘賞を受賞。

メンバープロフィール

宮崎 宏興

特定非営利活動法人いねいぶる理事長、市民団体T-SIPたつのソーシャルインクルージョンプロジェクト代表、大阪大学大学院医学系研究科老年看護研究室招聘教員。
富山県生まれ。作業療法士とワークショップデザイナーを生業とする。
1997年から医療介護分野でのリハビリテーション経験を経て、2004年に現法人を設立。その後、障害福祉分野に従事しつつ、自治体や公共職業安定所の事業にも参画している。2012年より、誰もが誰かを包み込む社会づくりを目標に、市民団体T-SIPを設立。何らかの生きづらさを理由として区別されたひとと社会が、ふたたび混じり合うためのきっかけを生み出し、それぞれの周縁がなめらかで優しく醸成されていく流れを問い続けている。人と人との間にある障がいと社会の課題を日常の気づきから発想する、革新的な社会活動に挑戦している。

池本 和弘

Documentation Design Lab.,LLC.代表
高知県生まれ。SAWA PHOTO STUDIOのアシスタントフォトグラファーを経て、2014年に独立。ドキュメンテーターとして、学びの振り返りを促す映像制作を行う。

福崎 千晃

Documentation Design Lab.,LLC.デザイナー
兵庫県生まれ。 グローリー株式会社でGUIデザイナー、神戸芸術工科大学で実習助手として勤務したのち、学びの振り返りを促すドキュメンテーションの可能性の研究を続け、2021年に神戸芸術工科大学大学院にて芸術工学博士を取得。